カビンノハナ

あの日あなたが手をひいた
電信柱の下 告別式の看板が立ちました
やけに瞼が重いのは
街は何も変わらないから

あの日あなたが手をひいた
狭い路地の隅に ヒグラシが力尽きていました
線香の煙が目に染みた
夏が終わる日の事でした

悲しい歌は歌いたくないな
悲しい歌は歌いたくないな
台所の音や バス停前の排気ガスや
いつもの朝が来たらいいのにな

あの日僕が手を振った
押しボタンの下にも 告別式の看板は立つのかな
枯れては挿してを繰り返した
玄関先 カビンノハナ

しょげた色の花じゃなくて
美しい花言葉でもなくて
できるだけ鮮やかな花を
できるだけ鮮やかな花を

できるだけ鮮やかな花を
できるだけ鮮やかな花を
何よりも鮮やかな花を
あの花瓶にそっと挿しておけ

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